第4回 放射光科学賞  (2021年)


石川 哲也氏 (ISHIKAWA Tetsuya)

理化学研究所 放射光科学研究センター センター長

SPring-8 X 線光学系の開発とコヒーレントX 線光学の開拓

  石川哲也氏は、これまで約40 年にわたって、日本と世界の放射光科学を先導してきた。 石川氏は、Photon Factoryから東大を経てSPring-8に至る研究経歴の中で、数々の新しいX線光学系を世に送り出してきた。最大の業績の一つは、大型放射光施設SPring-8におけるX線光学系・ビームライン技術を確立したことである。SPring-8は当時、世界最高輝度の光源であったが、それ故に光学素子への熱負荷が大きな問題となっていた。石川氏は、自ら開拓した独自の光学技術によって、高い熱負荷にも耐えうる高性能な光学システムを開発し、SPring-8の光源性能を引き出すことに成功した。これにより、物質、生命科学などの広範な分野における放射光科学の発展に大きく貢献した。
  また、石川氏は新たな分野であるコヒーレントX 線光学の開拓を行なった。特に、世界に類を見ない 1 km長尺ビームラインと27 m 長尺アンジュレータビームラインをSPring-8 に構築し、世界最高のコヒーレンスを持つX線の利用を推進した。さらに、これらの成果は、コンパクトXFEL光源のコンセプトの提唱と実証につながり、石川氏のリーダーシップのもと独創的かつ高機能なコンパクトXFEL施設SACLAが実現し、X線非線形光学をはじめとする最先端のサイエンスが展開されている。
  このように、石川氏は我が国発の世界最高水準である放射光科学を生みだし、放射光コミュニティの発展に著しく貢献した。以上により、石川哲也氏は第4回放射光科学賞を受賞するに相応しいものと認められる。

日本放射光学会
会長 朝倉清高

2021年 1月