第5回 放射光科学賞  (2022年)


野村 昌治氏 (NOMURA Masaharu)

高エネルギー加速器研究機構

XAFS計測技術の開発による放射光科学への貢献

  野村昌治氏は、X線吸収分光(XAFS)の計測技術の研究開発、及びその応用研究の普及において指導的・先導的役割を果たした。野村氏は、Photon FactoryにおいてXAFS法の計測技術の研究開発に取組み、その活動はX線光学系構築・計測プログラム開発・試料環境整備など極めて広範囲にわたり、国内他放射光施設におけるXAFSステーション構築ならびにXAFS計測技術の様々な科学技術分野への波及に多大な貢献を果たしてきた。
  また、野村氏はXAFS法の高度化にも尽力し、代表的業績として、故松下正・高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所・元副所長が先駆したDispersive XAFS (DXAFS)法の開発が挙げられる。湾曲結晶の集光分光技術開発を行い、マイクロ秒時間分解DXAFSを実現し、触媒の反応メカニズム解明等に役立てた。特に自動車触媒Pt/ZrO2-CeO2の酸素吸脱着過程を初めて捉えたDXAFS研究は国内外の注目を集めた。DXAFS法開発は、第二世代放射光源での時分割計測を具現化し、第三世代以降光源での極短時分割計測への流れをつけた点で重要な放射光科学の発展に位置付けられる。
  このように野村昌治氏はXAFS分光を中心に我が国の放射光科学とそのコミュニティの発展に著しく貢献してきた。以上により、野村昌治氏は第5回放射光科学賞に相応しいものと認められる。

日本放射光学会
会長 横山利彦

2022年 1月