第7回 日本放射光学会功労報賞 (2020年)
堀米 利夫氏 (HORIGOME Toshio)
自然科学研究機構分子科学研究所極端紫外光研究施設
堀米利夫氏は、1973年、高エネルギー物理学研究所の共通研究系・工作室の技術職員に採用され、物理実験機器の設計・製作に従事したのち、1980年、分子科学研究所に異動してUVSOR施設のVUV-SXを中心とする多くのビームライン・観測システム(BL3A、BL5B、BL7A、BL8B、BL3U、BL6U、BL7U、BL7B)の設計・製作および技術支援活動に永年にわたり従事している。その間、研究者の技術相談にも熱心に対応し、種々の実験装置の改良や創意工夫による研究者支援に尽力し、多くの研究者から信頼される高い技能を持った技術者としてUVSORの特色ある研究活動を支えている。研究ニーズに的確に対応した同氏の技術的な助言・指導は、若手研究者の研究活動を大きく発展させただけでなく、軟X線二結晶分光器、ARPESにおける超高真空用試料搬送機構、極低温冷却機構や結晶劈開機構、STXMにおける試料回転機構やオペランド分光試料セル、半球型光電子エネルギー分析器の真空回転機構、X線自由電子レーザーの検出器機構など、同氏が開発に関わった機器は、国内外の施設で広く採用され、中には商品化されたものがあるなど、放射光科学の発展に大きく寄与している。
以上のように、堀米氏は、放射光施設の高度な利用に必要な要素技術開発に加え、施設を利用する研究者への高い技術支援を通して、放射光科学分野に対する多大な功労かあり、日本放射光学会功労報賞に相応しい技術者である。
日本放射光学会
会長 朝倉清高
功労報賞報告 学会誌 vol.33 No.2(2020)