第8回 日本放射光学会功労報賞 (2021年)
有田 将司氏 (ARITA Masashi)
広島大学技術センター(共通機器部門共通利用機器管理班) 有田将司氏は、平成11年に広島大学放射光科学研究センター(HiSOR)に着任し、以来21年間HiSORのビームライン担当技術職員として放射光利用技術の高度化及び利用者支援に取り組んできた。
有田氏は、HiSORの特色となっている低エネルギー放射光を用いた高分解能角度分解光電子分光(ARPES)ビームラインBL-9Aの整備・高度化の中核を長年担ってきた。2004年には放射光を用いた固体の光電子分光で世界最高のエネルギー分解能である700μeVを達成した他、HiSORの施設設備の維持管理や、共同利用・共同研究拠点活動の基盤を支えてきた。その結果、HiSORのBL-9Aからは学術的にインパクトのある多くの研究成果が創出され、小型放射光源の特色を活かした世界的にもユニークなビームラインとして国内はもとより海外の有力な研究グループがこのビームラインで共同利用・共同研究を実施している。有田氏はビームライン担当者として国内外の研究者の課題申請を引き受け、多くの論文の共著者となっている。
以上のように、有田将司氏は長年にわたる放射光利用技術の高度化および利用支援の取り組みを通じて放射光科学分野に対する多大な功労があり、日本放射光学会功労報賞に相応しい技術者である。
日本放射光学会
会長 朝倉清高
功労報賞報告 学会誌 vol.34 No.2(2021)