第9回 日本放射光学会功労報賞 (2022年)
山本 安一氏 (YAMAMOTO Yasukazu)
立命館大学SRセンター 山本安一氏は、立命館大学SRセンターにおいて、26年間にわたり、安定運転・維持管理・高度化、ならびに、放射光利用従事者の教育と支援に従事してきた。
山本氏は、立命館大学SRセンターの光源を長期シャットダウンもなく長きにわたり利用運転に提供してきた。この間、加速器運転においては、ヘリウム液化機や高周波制御部およびそれらの制御システムの改良や電子ビームエミッタンスの制御により長寿命運転を達成した。また、ビームライン整備においては、小型放射光光源であることの利点を最大限に活かすX線ビームラインのミラー系の設計やリング内にミラーを直接導入することによる高光子束赤外ビームラインの設計なども実践してきた。このような光源安定運転やビームライン整備は、大学に設置された放射光利用施設として多くの学生・若手研究者に放射光科学の教育と利用研究の機会を提供し、日本の放射光科学分野における人材育成に大きく貢献してきた。
以上のように、山本安一氏は、長年にわたる放射光利用研究環境の整備、および、利用支援への取り組みを通じて、放射光科学分野、特に、放射光利用機会の提供と若手研究者人材の育成に対する多大な功労があり、日本放射光学会功労報賞に相応しい技術者である。
日本放射光学会
会長 横山利彦
功労報賞報告 学会誌 vol.35 No.2(2022)