第11回 日本放射光学会奨励賞 (1/3)


岡俊彦 会員

慶応義塾大学理工学部物理学科

時分割X線回折法による紫膜の光反応過程の研究

  岡俊彦氏は、高フラックスビームラインと時分割X線回折装置の開発に携わり、特に、単パルスの高フラックスX線と二次元X線検出器を組み合わせたマイクロ秒時間分解能での生体高分子用時分割X線回折装置の開発に主導的な役割を果たした。さらに、自ら開発した装置を用いた時分割X線回折実験により、生理的環境下での紫膜を試料としたバクテリオロドプシンの光反応過程の構造研究において、10マイクロ秒時間分解能で寿命の短いM1反応中間体からM2反応中間体への構造変化の過程を世界で初めて明らかにした。これらの成果は、高輝度放射光を利用した時分割X線回折法が生体高分子の反応過程研究において有力な実験手段であることを示したもので、放射光科学および構造生物学研究の両面において独自性の高い優れた業績である。

日本放射光学会
会長 雨宮慶幸

2007年 1月

受賞研究報告 学会誌 vol.20 No.2(2007)