第21回 日本放射光学会奨励賞


木村 隆志 会員 (KIMURA Takashi)

北海道大学 電子科学研究所

X線自由電子レーザーによる溶液環境コヒーレント回折イメージング法の開発

  木村隆志氏は、 X線自由電子レーザー (XFEL) を利用したコヒーレント回折イメージング (CDI) 法を溶液環境下で実現するための基盤技術を開発し、 コヒーレント放射光科学の発展に顕著な貢献を行なった。
  XFELを利用したCDI法は、 結晶でない試料に対して、 放射線損傷の問題を回避しながらナノイメージングを実現する方法として注目されてきた。 しかしながら、 CDI法では、 寄生散乱を抑制するために試料は通常真空中に置かれるため、 試料環境が厳しく制約されていた。 受賞者は、 CDI法を溶液中の試料に対して適用するために、 微小な液体セルをチップ上に多数配置した、 マイクロ液体封入アレイ (MLEA) の開発を行なった。 この上で、 各セルからの回折像を、 XFELのシングルショット照射で次々と取得することにより、 溶液中の生きた細胞をX線でナノレベル観察することに世界ではじめて成功し、 その有用性を実証した。 さらに、 生体試料の観察のみならず、 液中における合成や反応等のナノ材料のダイナミクスの解明へと広く展開している。
  これらの業績は、コヒーレント放射光科学の重要な一基点として、 本学会奨励賞に相応しいものである。今後のさらなる発展を期待する。

日本放射光学会
会長 石川哲也

2017年 1月