第26回 日本放射光学会奨励賞


河口 彰吾 会員 (KAWAGUCHI Shogo)

(公財)高輝度光科学研究センター 回折・散乱推進室

ハイスループットその場粉末回折自動計測システムの開発

  河口彰吾氏は、大型放射光施設SPring-8の粉末構造解析ビームラインBL02B2において高分解能粉末回折データの高速データ収集システムを構築し、さらには多彩な試料環境制御下の測定を実現する機器及びそれらの自動迅速切替システムを開発した。当該ビームラインの新規利用者や発表論文数の増加は河口氏の功績に他ならない。特に、河口氏が独自に開発した試料のガス圧力を自動制御可能なリモートハンドリングシステムは画期的で、秒オーダー以下のガス吸着過程における多孔性金属錯体の構造相転移の観測に成功したことは高く評価できる。本システムはすでに全散乱やXAFS等の他のビームラインでも利用されており、波及効果も大きい。
  河口氏は、ガス吸着や反応下などのリアルタイムで進行する不可逆過程の結晶構造変化を計測するための装置開発と構造物性研究に取り組むだけでなく、利用者の効率的な実験実施のためのキャピラリへの粉末自動充填装置なども開発し、汎用性と先進性を両立する実験ステーションの実現に向け精力的に活動している。関連学会での評価も高く若手でありながら委員も任されるなど、放射光科学において今後もさらなる活躍が期待される希有な研究者である。以上により、河口彰吾氏は第26回日本放射光学会奨励賞に相応しいものと認められる。

日本放射光学会
会長 横山利彦

2022年 1月